2022年11月23日

カイツブリ

牧場の沈殿池に飛来して来たカイツプリ、小型な水鳥が13羽が小さな池を泳ぎ回るのは愛らしかった、幸い見浦牧場は養鶏業ではないので、鳥インフルエンザにはご縁がない、伝染される心配はないので安心して可愛いねと言う、素直に眺めることができる、牧場に住み着いているカラスたちが餌にはならないかと狙うのだが、さすがのカラスも水の中では手が出ない、池の周りを取り巻くだけ、おまけに飛行速度はカイツブリの方が早い水面から飛び立てばカラス何をするものぞである。

ところが養鶏場に水鳥が伝染すると伝染病のウイルスが蔓延、鶏が死だのでと検査を受けると渡り鳥が運んだ鳥ウルスと云うことで全部の殺処分、そして埋設の報道がニュースソースにのる、越冬のため渡来する水鳥がウイルスの運び屋では対策が大変である。

最も偶蹄目の牛も野生のイノシシも偶蹄目、牛の伝染病が発生すると彼等が運び屋になると云うから、見浦牧場のような放牧形式の飼育牧場では全滅の可能性が高い、近隣に牛の飼育場がないのが唯一の頼みの綱、一種の神頼み、物事は簡単には成功させてはくれない。

牛も口蹄疫などウイルス由来の伝染病があり、何年か前、熊本の周辺で蔓延、全頭殺処分が行われた、あの時はひたすら中国地方にはこないことを祈ったものだ、放牧経営の見浦方式は伝染病には弱い、流行すると、即、羅患、全頭処理の憂き目に合う、他人事ではない。

しかしながら、野生の鳥獣を全滅させて対策するなど言い出す奴が出ないのは、人間にも常識があると云うことか、地道な消毒管理で可能性を少しでも少なくする、その努力の積み上げしかないのだ。

従って牛の伝染病に関係のない、カイツプリは降雪寸前の風物詩、5面ある沈殿池を渡り歩いて厳冬の雪の到来で水面が見えなくなるまでの時間をこの集団が羽を休める、カラスと違って愛らしい姿で水面を泳ぎ回るのは一服の絵である。

小板は厳しい気象条件の中にある。都会の快適な生活環境とは程遠いが、目を凝らせば都会人が見ることのない自然があり、生物の営みがある。その価値を認めるか、認めないかで地域への愛着心が違ってくるのだと思っている。小さな風物画のカイツブリはその自然の贈り物の一つ、しかし、間もなく厳しい冬がやってくる。それが過ぎて温かい春の日が小板に訪れるまで、凍らない水面を探して姿を消すカイツブリ、温かい春の日差しが戻って来て、彼等が北の故郷にもどる前に見浦牧場を訪れてくれる日を思い浮かべるのだが、私の命がそれまで続くかと言われると?マークになる。私も年老いた、愛らしいカイツブリの集団が泳ぐ姿を見れるか否かは神のみが知る、できれば小春日和の日にもう一度会いたいものだと願っている。

2021.1.10 見浦哲弥


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