2020年10月21日

選挙違反

2020年6月、目下、当地区では河井前克行元法相と奥さんの案理参議院議員の選挙違反の記事でにぎやかである。すなわち金銭買収、昨年の案理さんの参議員選挙の運動員への高額支払いから端を発して旦那の政治資金?のバラマキが表面化した。云うまでないが金銭で投票を左右するのは選挙違反である。しかも重大なね。

私も社会党の大原さんの部下として働いた事があるから政治の裏側には多少は知識がある。勿論、大原先生は生涯清貧に甘んじた人だから手下も手弁当、茶菓子も出なかったね。それが民主主義だと懸命に働いたものだが、左派と言われた社会党の中でも多少はあってね。党の研修会のあと右派の領袖の一人が一部の手下を引き連れて流川 (広島の飲み屋街) に繰り出して行った時は人間は右も左も根底は大差ないかと思ったものだ。

今回の選挙違反の買収は選挙法で固く禁じられてはいるが、時々は噂は聞こえてくる。実は1度だけ町議会に立候補したときに、某所に15票、金で動く票がある、買わないかと声をかけられたことがあるんだ。勿論、断ったら案の定14票差で落選、 なるほど金権選挙が存在すると言われるわけだと納得したもんだ。政治家になるのは嫌だとグズったのを、加計の前田先生に一度は選挙をしろと半ば強制された立候補だったので、これ幸いと表面に出なくて政治の勉強が出来た、私にとって大きなプラスだったのだが。

あれは農業委員になるきっかけだった。小板から立候補する人間がいなくて(各集落から一人ずつ出すと申し合わせがあった。 地域の中の農地の現状は住民が一番知っているという理由で)、それに目をつけた義弟が無投票につけ込んで立候補、農業委員になったのはいいが、奴さん仕事をする気などまるでない。少ないとは言え年20万円の手当がある。手当の支給日と視察旅行には出席(酒が飲めるので) するが月1回の定例会議には全く出ない、農地の実地検証(これは農業委員の重要な仕事)はボイコットするわで、 見かねた前町長の丸山さんが「何とかしろ」 と電話をかけてくる始末。それでも私の云うことなど馬耳東風、私には辞めさせる権限はない、地元の人間も関わり合いを恐れて我関せず、なんとも出来ないとお断りしたんだ。ところが私の留守に某氏から電話、家内が義弟の姉とわかってから随分罵倒されたらしい。帰宅してみたら、 どんな手段をとっても義弟の農業委員を辞めさせろと訴えられた。それでも話してわかる相手ではない、が、丁度3年目の改選時期、 私が立候補して落選させるしかない。後味の悪い話でね、 春さんが私に要求した最大の嫌な出来事だったんだよ。

勿論、敵もさるもの、届け出の日には役場近くの飲み屋に居座って圧力、 こんな思いの選挙は嫌だと他の集落の連中が、俺が辞退するので小板から二人委員が出てもええじゃん、という連中が出る始末。参ったね、あんたらの誰かは知らないが、仕事をしないで給料と飲み会だけに出るのはけしからんと家内に怒鳴り込んだから始まったこの選挙、途中で投げ出すなどもってのほかと説得、選挙になれば私に街宣で本当のことをしゃべられるのは、あいつが最も嫌うところ、選挙にはならないと説得するに一汗だった。締切30分前になって奴さん諦めて帰宅したから選挙にはならなかったが、私が正式の農業委員ということになって3期か4期、 務めることになって見浦牧場は大被害と相成ったんだ。

しかし、農業委員には毎年1回の山県郡内の委員の持ち回りの総会がある。その席で金銭による選挙違反の内幕を、当事者になって留置場に40日放り込まれた話を聞かせてもらった。某県会議員の違反の内幕である。ご本人は真面目で信望が厚い人だったので選挙運動に参加したのだとか、ところが手弁当で飛び回るのはいかにも気の毒とガソリン代として金一封が配られたと、それも本当に金一封をね、ところが配って歩いた人のメモが警察の手に渡った、それで金銭買収という事になって留置場に40日、選挙は怖いですのと、以来、その地区から県会議員が出ることもなくなった。あの人はええ人だったですがの一と、私も社会党の選挙運動に何度も参加したが、茶菓子もなくて手弁当だったが、話を正面から開いてくれる人のためには、それで満足だった。

しかし、金銭買収の話は何度も聞こえてきた。某町会議員は議長まで登りつめたが彼の選挙にはそんな話が渦巻いていた。でも巧妙に立ち回るのでボロが出ない。ところが末端の運動員の中に心が許せる下級生がいた。彼が時々、世間話とて裏情報を持ってくる。それに今日はどこどこに票を買いに行ったなどと、どうも票を売買をする集団があるらしい、私のときも話があったから満更つくり話ではないと開いたものだ。

選挙運動で空約束を本物らしく話す某議員は言い逃れの天才だった。 おかげで空約束を信じて投票した友人が私に何とかしてくれと泣きつく。「ええ話をするんじゃがの一」 と長々と愚痴を聞かされた。そんなことが何度もあった。それでも警察沙汰には一度もならなかったから一種の天才だったかも。

その彼が町長選挙に出るので応援をしてくれとやってきた。普通なら 「ハイハイ」 空返事をするのだが裏話を知っているから腹の虫を抑えきれなかった。「あんたにはいれらんよ」 と言ってやった。途端に遠い縁戚の縁は切れた。彼の兄妹は善人だったのにね。

それに較べると河井夫妻の選挙違反は幼稚というか、選挙民をなめているというか、実に大胆な選挙違反である。私も農協や森林組合の総会で来賓として挨拶をする克行氏と案理氏の話を何度も聞いて、政治家になるのも大変だなと思ったものだ。大原先生と違って内容はなかったがね。

それが今回は何千万円のばらまきときた。安芸太田町の町長も20万円の現金を貰っていて辞職、県内の市長や議員さん達が上は何百万円から、下は何十万円まで新聞の報じる金額は表向きだけでもこれ、本当の裏の話はどこまで膨らむか。民主主義だと言っても玉石混交、人間を見抜くのは大変である。

裁判が始まって結論が出るのは暫く先、 無駄に人生を使った両氏は気の毒なのか、アホなのか、答えが出るのは、まだ時間がかかる。

2020.7.3 見浦 哲弥


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