2021年1月18日

星の瞬き

小板まきばの里キャンプ場の淑子くんがミニキャンプ場の報告に来た。試験開業の結果が思いのほかの反響で驚いたと。

その中で小板の星空の美しさにキャンパー達が感心していたと。最近の都会は不夜城のようで、夜でも煌々とライトに照らされた夜空はただの暗黒のカーテンに過ぎない。勿論、月や光度の高い星々は存在を訴えてはいるものの夜空は寂しい。地球は天の川星団の中に存在する。本来の夜空は満天に無数の星々が輝いているのだが、都会の住民にはそれは見えない、そして忘れがちになる。

都会の発展で夜空の暗黒が失われ、周辺の住民も反射で輝きを失った夜空では無数の星々を確認することは不可能になったが、夜空の星が見えなくても人間の生活には直接の影響はない。いつしかそれが当たり前になって神秘的な満天の星空は都会人の意識の外になった。

ところが、小板まきばの里キャンプ場で夜空を見上げると、そこには別の世界が広がっている。深入山と臥龍山に挟まれた小板は谷底ではなく小さな高原、都会の明かりの影響は全く無く、晴れた日は昔の夜空を再現してくれる。天の川銀河をはじめ、無数の星々が自然そのままの夜空を演出しているのだ。

もう何年昔になるだろう、貴方は百武彗星が地球に接近したのを覚えているだろうか。小さな碁星だったが長い見事な尾を引いて、小板の空一杯に広がった見事な天体ショー、都会の明かりの影響のない小板だから見られたショー。息子の和弥が、これが見られるということが何百万円の価値があると言うことを小板の人は誰も知らないと嘆いた。昨日のことのように覚えているが、小板の住民の話題にはならなかった。

小板まきばの里キャンプ場のお客さんが小板の夜空が素晴らしいと歓声を上げたと聞くと、自然がまだ一杯の小板に限りない愛着を感じる。自然の素晴らしさを再発見してくれる都会人に大きな共感を感じる。思わぬ共通点の発見に次の世界を夢見る見浦牧場、その未来を私の残り少ない時間でどこまで見ることが出来るのやら、痛感するのは人の命の儚さである。

2020.8.18 見浦 哲弥

 

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