たった30メートルほどの距離だが骨折中で松葉杖の晴さんが自力で3メートルの階段を登るのは無理。しかし、お店を経営している以上、お客さんの要望が第一なのは当然のことだ。
ところが老人2人は足が悪い、お店は住居より5メートルほど高いとくる、お客さんを何時までも待たせるわけにゆかぬ、そこで乗用車で行くことにした、たった4-50メートルの距離なのに。それでも間に合った。一人は別荘の社長さん、小板に行く時は必ず見浦牛肉を買って帰る約束ごとだと、有り難いお客様である。続いてもう一人別荘の方、こちらはお土産にするのだと。老人二人のささやかな努力で、お客さんの要望に答えることが出来た。
農民が作物をただ作るだけの時代は終わった。生産者が消費者までの心配りを持たないと折角の農産物も売れない時代になった。士農工商の時代ではないが、プライドだけでは農業は成り立たくなった。この現実を皆さんは理解しているのだろうか。
ともあれ、今日はお客さんの要望に答えることが出来た。笑顔で帰って行かれる後ろ姿に商売を離れた喜びがあった。
2019.11.26 見浦哲弥
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