脚が痛いといいながら、曲がった腰で家事から牛飼い、畑まで動き回っていた彼女が足先とは言え、ギブスで固定された足では起立も困難で、トイレに行くのも悪戦苦闘、まさか夫婦でこんな状態になるとは想像もしなかったね。が、気丈な彼女は介助はなくても自力でと努力をしている。老化でも気力は落ちていない、子供のときから男勝りだったからね。
それでもギブス3日めにもなると、せめて自分の出来る仕事をと探し回って色々と頑張っている。そんな彼女を見ていると見浦牧場は彼女のおかげでここまでこれたのだなと痛感している。
しかし、老化は人の定めとは言いながら身近で起きると笑い事ではない。私も目下歩行が困難になり始めて行動範囲が40メートル以内に限定されはじめて機械に乗車するのも一苦労の状態なのだから。だから彼女の悔しさは私の悔しさでもあるのだ。人には誰にでも訪れる老化、意識しないようにして毎日を送ってはいるが、迫りくる終滞の日を意識しないわけには行かない。それはあまり遠くではない。
晴さんも私も、長かった人生を喧嘩をしながらでも懸命に生きた。もう充分だの声も聞こえるが命の終わりが現実になるのは、やはり辛い。私は人間、やはり凡夫である。
2019.11.1 見浦哲弥
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