2020年3月10日

ばーちゃん骨折す

2019.10.26 晴さんが歩行困難になる。気丈な彼女が腰が曲がって小さな台車を押しながら、それでも健常者に負けない速度で歩くのを、ビッコで歩行困難で数十メートルを歩くのが限界になった私は、さすがは晴さんと羨望の眼で見ていたのだが、昨日の朝、脚が痛いと歩行困難になった。早速、子供たちが病院へ有無を言わせず連れてゆく。診断は踝(くるぶし)の一部の骨折でとギプスを巻かれて松葉杖を貸与されて帰宅。気丈な彼女でも老化の骨粗愁症が進行していた。それでも平常、体を使っているので骨密度は平均以上だそうだが87歳の年には勝てない。常人でもこの年令になれば骨密度の低下は当たり前で、80過ぎにもなると進行して骨折が何時起きてもおかしくないとは聞いていた。私が先だと思っていたのに、彼女のほうが先に症状が出るとは、不意打ちを食らった感じである。考えてみれば彼女も87歳、元気印の彼女なので、わたしが世話になるものとばかり思っていたのに。

脚が痛いといいながら、曲がった腰で家事から牛飼い、畑まで動き回っていた彼女が足先とは言え、ギブスで固定された足では起立も困難で、トイレに行くのも悪戦苦闘、まさか夫婦でこんな状態になるとは想像もしなかったね。が、気丈な彼女は介助はなくても自力でと努力をしている。老化でも気力は落ちていない、子供のときから男勝りだったからね。

それでもギブス3日めにもなると、せめて自分の出来る仕事をと探し回って色々と頑張っている。そんな彼女を見ていると見浦牧場は彼女のおかげでここまでこれたのだなと痛感している。

しかし、老化は人の定めとは言いながら身近で起きると笑い事ではない。私も目下歩行が困難になり始めて行動範囲が40メートル以内に限定されはじめて機械に乗車するのも一苦労の状態なのだから。だから彼女の悔しさは私の悔しさでもあるのだ。人には誰にでも訪れる老化、意識しないようにして毎日を送ってはいるが、迫りくる終滞の日を意識しないわけには行かない。それはあまり遠くではない。

晴さんも私も、長かった人生を喧嘩をしながらでも懸命に生きた。もう充分だの声も聞こえるが命の終わりが現実になるのは、やはり辛い。私は人間、やはり凡夫である。

2019.11.1 見浦哲弥

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