2017年2月10日

稲作講座

物置がわりにしていた廃バスが朽ちて雨漏りが激しくなった。何とか整理をと気にはしていたものの、忙しさに取り紛れて放置してあったが、何の気の迷いか?整理を始めたんだ。
詰め込まれた様々な品物の中には古い雑誌も決算書も子供たちの教科書や通学服など、出るは出るは、どの品物も記憶があるものばかり。その子供たちも長女が60何歳、末っ子の和弥で50に近い。ずいぶん長い時間が過ぎたものだ。

その中に混じって私の稲作の専門書が現れた。半ば朽ちてはいるが、かろうじて表題は読める。60年もの遠い時間の彼方から記憶を呼び戻した本は朝倉書店の”稲作講座3巻”著者は戸苅義次・松尾田考領、両先生、分厚い本でね。確か価格480円。当時は小板の日当は400円。3巻ともなると崖から飛び降りるほどの勇気がいったものだ。でも、この本のお陰で小板では稲つくり1番になったのだが、本の丸写しでは成功しなかったろう。もう一つ”13度”に書いた小板独特の条件を見つけて付加したことが成功に繋がった。世の中、丸写しだけでは成功しないと教えられた一事でもある。

勿論読書だけで成功するわけはない。泊がけで通った西条の試験場での学習も大きな力になった。勉強は進学しなければ出来ないのではなくて、強い意志さえあれば、あらゆるところに教場はある。没落の家運の中でも学びの場を見つけだすことが出来たのだ。

勉強するということは人生の大きな条件の一つでもある。その結果が電気事業主任技術者検定に合格したのだ。環境に恵まれなくても、それを口実に後ろ向きにならなければ道は開ける。運が悪くて目指す道が閉ざされても再び新しい世界が現れる。俺は運が悪いと諦めるのでなく、一度きりの命、どこまでやれるか試してみるかと挑戦することで、新しい道が向こうからやってくる。人生とは不思議なものである。

その過程の私の道標の一つがこの”稲作講座”、私の大切な人生の道標の一つが遠い時間の彼方を蘇らせてくれた。朽ちた表紙が若かった私の生き様を語りかけて。

2016.10.29 見浦 哲弥

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